最初に明らかにしておきたいのは、「今回の裁判の判決には納得いっていない」という立場で書くと言うことです。
それだけわかっていただけたのなら、Clearとしての結論は以上なのですが、それだとあんまりなので少し思ったことを書いてみます。
思ったことを書くだけで、あっている保証なし。
Winnyが開発された契機として、WinMXの次は何なんだ というスレで47氏が開発を宣言して開発したという経緯が一番の検察側の主張となるのでしょう。
詳しい語録は47氏発言集が参考になるかと。
さて、判決についてですが、今回の判決に関しては少し無理がありすぎたんじゃないかと思っているのです。
著作権を侵害するのを幇助したという罪らしいですが、その流れでいくと、拡大解釈が生まれ、何でも違法になってしまいます。
- 拡大解釈の例
- Winnyが違法?ってことはそれを動かすシステムを提供したWindowsも違法?
- spamが違法?じゃあそれを手助けする一括配信システムは違法?
- アングラサイトが違法?じゃあそれを手助けしたApacheの開発者は違法?
少し無理がありすぎますが、Winnyというのが複雑であるからにして、この図式をすんなり当てはめることは不可能にしても当てはまらないとも言い切れないと思います。
様々な可能性を秘めた分野において、それを切り開いた先駆者が有罪になってしまうと言うことは残念という以外の感想をもてません。
だって、ソフトウェアやCGIスクリプトに至ったって、開発するときに「これは著作権の侵害を幇助しないか」について検討しないといけなくなるんですよ?
たとえば、アップロード機能付き掲示板を作ろう!そうだ、大きいファイルがアップされたときは自動で分割しよう!なんて考えたとします。
開発者側からすればそれだけの考えだったのかもしれません。しかし、いざ公開するとDVDリップデータのアップロード掲示板として広く知られるようになってしまった!
え?逮捕!?マジかよ!
これ、この状態が進んだら起きるかもしれませんよ。
47氏は上記発言集の中で様々な著作権に関する提起を行っていた点、これが幇助をしようとする意図があると解釈されたのだと思います。
そのうち、Readmeに「違法なファイルはアップロードさせないように管理をしてください!」って書いた→違法なファイルをアップロードできるという認識があったって解釈されてしまいますよ?
そしたら世の中のレンタルサーバーのほとんどの規約をみてください。
著作権、肖像権に関する表記は必ずと言っていいほど入っているはずです。
それが「著作権の侵害を援助しかねない状態を作っていたにもかかわらずそれを改善しなかった」なんていう理由で強制捜査とか入ったらどうしようwwwwwwww
判決文の全文やWinnyについて深く知っていないとこの問題について詳細に述べたりは決してできないと思います。単純な問題じゃない。だからこそ、今回の判決は非常に遺憾なんです。こういう風に単純に解釈してしまう風潮ができあがってしまう危険性をはらむ判決だったということに。
別に47氏が有罪だろうが無罪だろうが、それは47氏の問題であって、ほとんどの人には関係ありません。
ただ、今回の判決がもたらす影響は、今後の様々な技術の開発に多大な影響を与えるという点を考慮において、検察側はWinnyが悪なのか、それとも47氏の発言が悪なのか、それとも利用者に問題があったのか、マスコミにきちんと報道するように努めるべきです。あまりにもWinny=違法という安直な立場からの報道が多すぎます。
Winnyで極秘情報・個人情報が流出したから逮捕した!なんて考えている人がいるんですよ?
とんでもない!情報の流出は今回の裁判には関係ないです。
著作権の侵害の幇助で有罪確定したらそれでも有罪にしようとしそうですが。
「Winny使ってるけど、セキュリティーソフトが入ってるから平気でしょ?」なんて人はやめた方がいいです。
どんなに万全にしたところでセキュリティーが完全に保たれるなんていうのは妄想です。
情報の流出をさせたくないなら、自分の外部から隔離されたLAN内だけでWinnyやればいいじゃない。
望んだ情報だけ手に入って望まない流出を避けるなんて機能はWinnyネットワークでは実現できません。
ってかすべてのネットワークで無理でしょ。要は可能性の程度の問題であって、絶対は無いと思う。
外部と接点がある以上、情報の流出は避けられない。これはオフラインだろうがオンラインだろうが関係ないです。
CD-R盗まれた!とか未だにある。ってか口が堅いってひとだって情報流出させてるでしょ。スパイだっているし。
いろんな方がWinny問題について述べていらっしゃいますが、あまり「47氏が著作権の侵害の幇助をしようとしていたのか」について言及している記事を見かけません。Winnyの技術的問題やセキュリティー意識、マスコミなどの対応については意外と誰にでも書けるものです(あっているいないにかかわらず)。
だからこそ、今回の判決は難しいと言えます。あっているあっていないの区別が非常に曖昧なのです。
控訴審にてきちんとその点を明確に線引きした判決が出て、それを正しくマスコミが報道してくれることを望みます。
そうしないと、コンパネに一括お知らせ送信機能とかつけられなくなっちゃうよ。